昨年、佐藤健さんの主演で映画化された小説「護られなかった者たちへ」
中山七里さん原作の小説を読みたくて、やっと読みました。
かなり前にKindle本で購入していたのですが、なかなか読む時間がとれなくて放置してしていたのが後悔されます。
もっと早く読んでおけばよかった。
ミステリー小説でありながら、生活保護制度の問題点に焦点をあてた現代社会の闇を描いた作品。
何が正義なのか・・・
あらすじ
誰もが口を揃えて「人格者」だと言う、仙台市の福祉保険事務所課長・三雲忠勝が、身体を拘束された餓死死体で発見された。
怨恨が理由とは考えにくく、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。
しかし事件の数日前に、一人の模範囚が出所しており、男は過去に起きたある出来事の関係者を追っているらしい。そして第二の被害者が発見され――。
社会福祉と人々の正義が交差したときに、あなたの脳裏に浮かぶ人物は誰か。
生活保護の問題点に切り込んだ作品
テーマが「生活保護」と「震災」に焦点が当てられていて、そこに起こる社会の理不尽さが描かれています。
社会から本当に護られるべき人が護られない・・・
内容が少し重く、考えさせられる事が多いお話です。
生活保護の制度を悪用し、そこにあぐらをかく人もいるのも事実ですが、本当に保護が必要な人が護られない・・・
申請者の数が多く、予算にも限りがあり、またそれを処理する人員にも限りがありる。
切り捨てられる人がいるのも確か。
ミステリー小説ですが、ミステリーというより、現代社会の問題に突っ込んだ内容の本でした。
泣けるミステリー小説という感じですね。
伏線を張りめぐらせた、大どんでん返しを期待してられる方には物足りないと感じると思います。
犯人がわかりやすいです・・・
心に残ったフレーズ
作中で心に残ったフレーズを紹介させてもらいます。
護られなかった者のひとり・・・遠島けいの言葉が心に残った。
「人から受けた恩は別の人間に返しな。でないと世間が狭くなるよ」
「厚意とか思いやりなんてのは、一対一でやり取りするようなもんじゃないんだよ。
・・・・・してもらったことが嬉しかったのなら、あんたも同じように見知らぬ他人に善行を施すのさ。」
そりゃあ確かに母親ってのは強いけど、全能の神様じゃないからね。
近しい人間だと解決できない問題だって、中にはあるんだよ。
普段生活している中で、人から恩を受ける事も多いはず。
その恩をその人に返すのではなく、別の人に返すことにっって、世の中が良いように回って行くという発想が素敵です。
私自身、人から受けた恩を別の人に返していこうと思えました。
シングルマザーで仕事と子育て真っ最中の時、体を壊して入院した事があります。
その時、子供の世話をしてくれた方がいたのですが、私はお返しする事ができませんでした。
もう亡くなられて、今はいらっしゃらない方だからです。
その方に返したかった恩を別の人を助けるという形で返していきたいですね。
死ぬ間際に書かれた、けいの遺言
『・・・・いい子で・・・・いなさい。ひ、人に、迷惑
をかけないように・・・・』
親が子供に、あたりまえに教える事ですが、この言葉の意味って重いですね。
当たり前の事が、当たり前にできない人も多い現代だからこそ、心に刺さりました。
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昨年、映画化もされましたし本としては評価が高かったのではないでしょうか。
映画も見に行きたかったのですが、残念ながら昨今のコロナの影響で、映画館という密室に抵抗があるため、私は行けませんでした。
近々、DVDかネット配信で映画も見ようと思います。
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映画観るなら<U-NEXT>主人公役の佐藤健さんが、どんな演技をされているのかも興味があります。
最後に・・・
犯人最後の犯罪に向かう寸前、自らのSNSに投稿した一文・・・
『護られなかった人たちへ。どうか声を上げてください・・・・』
胸をしめつけられる内容に、泣きそうになりました。
この後に続く言葉は、皆に読んでもらいたい・・・
・・・この世は思うよりも広く、あなたのことを気にかけてくれる人が必ず存在します。わたしも、そういう人たちに救われた一人だから断言できます。 あなたは決して一人ぼっちではありません。もう一度、いや何度でも勇気を持って声を上げてください。不埒[ふらち](道理にはずれていて、けしからぬこと)な者が上げる声よりも、もっと大きく、もっと図太く
護られなかった者たちへ・本文より抜粋
是非、この本を手にとって読んでほしいと思いました。
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